Wi-Fiセンシングは、既存のWiFi機能を使用して、防犯、遠隔医療、ホームオートメーション等々、次世代の幅広い検知アプリケーションを実現する魅力的な新分野です。Aerial Technologiesとオン・セミコンダクター(旧 Quantenna)は、さまざまなアプリケーションとサービスを提供するために、AI動作検知とWiFiを組み合わせたソリューションに関して密接に協力しています。この画期的な技術の魅力およびそれが私たちの日々の生活に及ぼす影響に関して、技術、導入、およびアプリケーションの順番に詳しく説明します。
技術
この画期的かつ革新的なWiFi技術は、既存のネットワークを使用して動作検知機能を提供します。物体が空間を移動するとWiFi 信号を攪乱しますが、Aerialの技術は、この攪乱をAI学習モデルで分析し、動作の識別、分類、および意味付けを行い、スマート・ソリューションを生み出します。
専用の検知技術は、他にも存在するかもしれませんが、WiFiは、いくつかの理由で魅力的です。まず、WiFiは、ほとんどの住居および建物に導入されており、ほぼ至る所に存在します。したがって、Wi-Fiセンシングは、本質的にコスト効率の良い動作検知ソリューションです。専用機器、センサ、または侵入性のあるカメラは不要で、新しいエコシステムを構築する必要がありません。
また、幅広く導入されている技術を再利用できるため、多くの検知アプリケーションの導入時間が短縮されます。さらに、標準化に向けた継続的な取り組みにより、さらなる技術改良とアクセス拡大につながり、次世代のWi-Fiセンシング・アプリケーションを実現することができるでしょう。Aerial Technologiesは、IEEE Wi-Fiセンシング ・グループ802.11bfおよびWBA(Wireless Broadband Alliance)のメンバーとして業界の標準化に積極的に参加し、 Wi-FiセンシングのCSI(チャネル状態情報)の標準化を推進しています。
また、Wi-Fiセンシングの付加価値は、AI学習モデルによるデータ処理にも存在します。人工知能は、時間の経過とともにアプリケーションの堅牢性と適合性を獲得します。このモデルは、あらゆる種類の環境で稼働し、行動パターンを学習し、エンドユーザーに対する警告と信号を柔軟に調整します。AIは、人々の生活向上に活用できる将来の変化に対応したプラットフォームの鍵です。
導入
Aerial Technologiesは、このソリューションをSaaSとして提供しているため、ホームルーターに小規模なソフトウェア・エージェントをインストールするだけで使用できます。このソリューションは、クラウドの持つ力と有用性を活用し、ホームルーター(エッジ)のコンピューティング機能を組み合わせることで、サービスを至る所に導入し、運用のリスクと複雑さを減らすことができます。
Wi-Fiカバーは、 Wi-Fiセンシングの適切な性能を実現するために不可欠です。ゲートウェイ、ルーター、およびリピーターを含め、メッシュネットワーク内のすべてのネットワーク機器は、CSI取得をサポートしています。このモデルには多くの利点があります。1つは、メッシュノードがクライアントとの正常な通信に使用する受信信号からCSIデータを取得するので、動作検知の機能を実現するために、WiFi の通信時間または帯域幅を増やす必要がないことです。
図1 メッシュネットワークにおける能動的検知域
MIMOは、CSIの取得に使用されるWiFi信号の検知において、高い空間的多様性とフィードバックを提供します。ルーターまたはゲートウェイに関する4x4、5x5、8x8 MIMOベースのソリューションは、家庭内のWi-Fiカバー範囲に影響を及ぼす障害、騒音、壁、および障害物を克服することにより、家庭内で最大カバー範囲を提供します。
Wi-Fiカバーが乏しいエリアでは、メッシュノードを導入して自然なメッシュ検知ネットワークを構築できます。また、一般的にメッシュノードは、より高次のMIMOをサポートしており、動作検知のカバー範囲と堅牢性の点で恩恵をもたらします。メインゲートウェイにおいてMIMOを活用することにより、最高のWi-Fiカバーおよび性能、つまり最高のWi-Fiセンシング性能の確保に必要なメッシュノードが少なくなります。
最後に、各メッシュノードのソフトウェアは、CSIデータ取得に関する送受信を両方制御できます。つまり、カスタマイズされたパケットまたは信号を生成することで、より高解像度の動作検知結果を実現し、高精度の位置決定機能をサポートできます。このモデルでは、検知カバー範囲を家庭全体に広げるために、より多くのメッシュノードが必要な場合があります。オン・セミコンダクターのQCS-AXおよびQCS-AX2 Wi-Fi 6ソリューションは、高度な空間診断技術をサポートしているため、高精度の高次MIMO CSIの高速取得が可能であり、より高解像度の検知機能を実現します。
オプションとして、オン・セミコンダクターのQV952C 4x4 Wi-Fi 5(802.11ac)チップセットを搭載したAerialの小型のMotion Capture Plug(モーション・キャプチャ・プラグ)は、サービスプロバイダが家庭内のWiFiインフラを提供できない場所に導入できます。モーション・キャプチャ・プラグは、WiFiアクセスポイントとの間に動作検知エリアを創り出し、生活空間全体に動作検知のカバー範囲を広げます。サービスプロバイダは、消費者の家庭にカバー範囲を簡単に広げることにより、最小限の投資でセンサ、カメラ、またはウェアラブル端末を使用することなく、顧客へ利便性と付加価値サービスを提供できます。
アプリケーション
Wi-Fiセンシングに関わるさまざまなアプリケーションが存在しますが、今年、決定的に必要となったアプリケーションである世界初のAIベースの遠隔医療ソリューションについて掘り下げていきましょう。この新しい受動型の非侵入性の技術は、遠隔医療のパラダイムを変化させるとともに、わずかなコストで遠隔医療へ幅広くアクセスできる可能性を示しています。Aerialとオン・セミコンダクターの高度Wi-Fiソリューションは、WiFiの偏在性を活用することにより、WiFi 動作検知技術を用いた遠隔医療ソリューションを使いやすくします。
図2 携帯端末に表示したAerialの遠隔医療画面
世界の人口の約30%は65歳を超え、そのうち30%が自宅で一人暮らしです。このような高齢者の人口は今後50年間で倍増すると予測されており、この人口の世界的な増加により、私たちは高齢化の傾向が進む高齢者コミュニティのケア方法を変えざるを得なくなっています。
Aerialの遠隔医療ソリューションを使用することにより、家族は身内の一人暮らしの高齢者の健康状態を追跡できます。このソリューションでは、主要な健康指標を時間の経過とともに家族へ知らせ、懸念のある不規則な行動または潜在的に緊急性のある状況を家族へ通知します。
Aerialの受動型の非ウェアラブル・ソリューションは、わずかなコストで提供することができ、高齢者コミュニティにおける利用と採用を増やすことができます。その結果、既存の WiFiインフラを利用して費用、複雑さ、および使用ミスの障壁を取り除くことができ、より良くより大きな影響を増加する高齢者人口へ与えることができます。これは、あくまでWi-Fiセンシングが実現できるアプリケーションの1つです。他のWi-Fiセンシング・アプリケーションおよび導入方法に関しては、 Aerial.aiおよびonsemi.comをご覧ください。
このブログは、Aerial.aiのマーケティング担当ディレクターであるÉmilie Carigna氏との共同執筆です。
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