12月 06, 2018

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中断することを好む人はいませんが、愛用のメディア機器に関しては特にそう言えるでしょう。テクノロジーの利用者として、私たちはデバイスに高い期待を持っています。データ帯域幅とストリーミングは、中断のないシームレスなメディア配信に慣れてしまうレベルにまで達しています。時には電力が少々不足する場合があっても、特に最新・最強のテクノロジーに関しては、デバイスからの中断とダウンタイムは容認されません。

USB-C™は未来の接続標準と目されており、万能コネクターで使用者の使い勝手に応えます。またUSB-C™は、より強力な充電につながるパワーデリバリ(Power Delivery、PD)プロトコルとSuperSpeedデータ伝送といった一連の機能を備えています。コネクターの統一性と魅力的な高性能サウンドのコンセプトの一方、製品開発者にとって、これらを同時に実装するのは困難になりえます。


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回転対称型のケーブルは、デバイスの受電と給電のどちらかを可能にします。ドックやハブとのような機器は、電源供給の必要性に応じて役割を素早く切り替えます。壁のコンセントにドックをつなぎ、タブレットをドックから充電する場面を考えてみましょう。このケースでは、壁コンセントにつながったアダプタがドックに給電し、ドックがタブレットに給電します。もし、電源アダプタが壁コンセントから抜かれた場合、システム全体は電源がなくなったことに対応する必要があります。ドックは、コンセントとタブレットの間で電源を供給する立場から、タブレットから受電する立場に移行することになります。この移行の間、使用者がタブレットのデータ中断で困るようなことがあってはなりません。このようなシナリオのために、USB-C™ PD高速ロールスワップの仕様は策定されています。

これは、USB On-The-Goまたは OTGとして知られるUSB 2.0に似たような電力ネゴシエーション仕様があったように、新しいシナリオというわけではありません。従来のOTG仕様はPCを必要としないで二つのデバイスを通信できるようにしました。携帯・ポータブル電子機器の急増に伴い、OTG仕様はもはや実用的ではなく、階層的な電源分担はもはや適用できません。

USB-C™ PD仕様の最新版には、高速ロールスワップ(Fast Role Swap、FRS)仕様が含まれており、データ転送を阻害することなく、電源の役割りの切り替えが適宜起こるように保証します。FRSを成功させるカギは、ドックに接続されたデバイスが瞬間的な電力喪失や故障を全く起こさないように、USB-C™ PD仕様で規定された時間内に電源供給元を変えることです。

多くの場合、電源管理ICは大きく、容量性を持ち、状態を変えるのに時間がかかるため、この動作は困難な場合があります。製品設計者は、FRSの時間要件を満たすことのできるUSB-C™ PDコントローラーと電源スイッチを選択しなければいけません。オン・セミコンダクターのFUSB307Bなどのコントローラーは、時々生じるホスト・マイクロプロセッサーまたはUSB-C™ ポートマネージャ(Port Manager)の遅い中断なしに、時間が非常に重要となる電源供給機能を自律的に処理します。これは、ドックのコントローラー間のGPIO通信、USB-C™を経由したドックとデバイス間の高速ロールスワップ信号、および電源切り替えを制御するSRC/SNKBピンのタイムリーな移行で実現されます。


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車載認定をうけたバージョンのFUSB307BVは、車内ドッキングステーションの基盤を形成できます。当社の車載アプリケーション向けの新しいUSB PDリファレンスデザインをご参照ください。
PD付きのUSB-C™コネクターは、私たちのポータブル機器や他の家電製品の使い方を変える可能性があります。FRSのような仕様の配慮によって、私たちのデバイスは中断することなく、シームレスに電源切り替えができるようになります。