この技術の発達が著しい時代に、家庭内で接続される機器の数は、ここ数年間で劇的に増加してきました。消費者は、ホームオートメーション、4K/高解像度ビデオストリーミング、オンラインゲームなど、かつてなく多くのIoTデバイスに注目しており、それによりインターネットを介して伝送されるデータの量は4倍に増加しています。結果として、次のルータの選択については、最大限の考慮が必要となります。
Wi-Fi® 技術:IEEE 802.11 は、技術の世代を定義する国際的なWi-Fi 規格です。たとえば、「802.11 n/ac/ax」は、802.11ac の具体的な規格を意味し、2013年後半に公開され、2016年に更新されており、Wi-Fi 5 とも呼ばれています。一般的にWi-Fi 6 として知られている802.11ax の登場により、スループットは大幅に向上しました。Wi-Fi 5 (11ac – 160MHz)の理論的な最大速度は6.9 Gbps で、Wi-Fi 6 (11ax - 160MHz)は9.6 Gbps です。見逃してはならないもう1つの重要な点は、動作周波数帯域であり、Wi-Fi 5 は、5GHz 帯を使用しますが、Wi-Fi 6 は、2.4 GHz 帯、5 GHz帯、および6 GHz帯をサポートしています。
「帯域」とは? シングルバンドルータは過去のものです。今ではデュアル/トライバンドルータが主流となっています。。デュアルバンドとは、ルータがデータパケットの伝送に2つの周波数帯域、つまり2.4 GHz と5 GHz を使用することを意味します。トライバンドルータは、2.4 GHz、5 GHz および6Ghz の周波数帯を使用するため、デバイスがバンドステアリングのアルゴリズムを使用してネットワークを選択でき、3 つの帯域に負荷を分散することで混雑を減らします。
2.4 GHz 帯は、5 GHz 帯および6 GHz 帯よりも混雑しています。Bluetooth® は、異なる技術を使用していますが、2.4 GHz 帯を使用するため、干渉の1つの原因になっています。また、コードレス電話など他の非Wi-F i端末も、性能を低下させる可能性があります。しかし、2.4 GHz 帯を使用する1つの利点は、5 GHz/6 GHzよりも効率的に壁を通過することです。というのは、周波数が低いと波長が長いため、より広いカバレッジを確保できるからです。後者の場合、8x8 MIMO (Multiple Input Multiple Output、マルチ入力・マルチ出力)は、レンジ拡大に大きく貢献します。
アンテナおよび空間ストリームの解釈: MIMO 仕様は、4x4、1x1 など、アンテナ構成の点でも重要な役割を果たします。この数字は、送信(Tx)/受信(Rx)のアンテナの数を示しています。適切なルータを選ぶもう1 つのポイントは、空間ストリーム(SS)で、一般的に4x4:4 のように表記されます。これは、空間多重方式を使用して、同じチャネルで固有のデータを送信するために4つのSS を使用していることを意味します。Wi-Fi 5 およびWi-Fi 6 は、最大8 つのSS に対応しており、より高いスループットを実現しています。アンテナの数が多いほど、複数の同時データストリームの伝送能力が向上し、位相差を補正して個々のストリームを操作するビームフォーミングが改善され、より高いスループットを達成できます。
今後は、インターネットサービスプロバイダー(ISP)のスピードパッケージ(単位:Mbps)を確認し、希望の範囲内で利用できるかどうかを確認してください。ISPの中には、一体型(モデムとルーターが一体化したもの)をレンタルしているところもあります。技術に精通したユーザーにとっては、、機能の有無を調べて、自分で機器を購入することも有効です。その他のルータを選ぶ際に考慮すべき事項として、マルチコアプロセッサやセキュリティのためのWPA3 暗号化が挙げられます。
メッシュネットワーク:昨年来、多くの人がリモートワークとバーチャルラーニングを利用したことで、同時使用するユーザーやデバイスの数が増加しています。以前は、ホームルーターの「生の」スループットが重要な価値でしたが、今は、エッジにおけるネットワークの回復力ととカバレッジも同様に重要です。家庭内のトポロジーによっては、デッドスポットが発生する可能性もあります。速度を向上できるようにWi-Fi のカバー範囲を最大限に広げるために、メッシュネットワークを使用する必要があります。
ノード(市販のポッド)は、Wi-Fi エクステンダーであり、戦略的に配置されてメインハブに接続され、そこからイーサネットケーブルを介してブロードバンドゲートウェイに接続されてネットワークを構成し、カバー率を高めます。このトポロジーは、データパケットを再度ブロードキャストし、ハンドオフをスムーズに行い、ポッドを仮想アクセスポイントにすることにより、デッドスポットを「生きた」ものにします。一般的なルータは、最大2500 平方フィートをカバーできます。しかし、メッシュネットワークは、ポッド数(通常2~3個)に応じて2倍の最大5000 平方フィートまで拡大できます。
ポッドは、人工知能のバックボーンを使用して、ネットワーク内の最高速のルートを選択し、デバイスのニーズに応じて帯域を最適化できます。たとえば、IoT デバイスは、ノートPC よりも少ない帯域幅しか使用しません。ノードが同期化されている場合、スマートフォンのアプリから簡単に管理できます。このような小規模のポッドの利点は、使い易くプラグ&プレイで設置できるため、シームレスなWi-Fi カバレッジを提供できることです。
Wi-Fi 6/6E への移行:Wi-Fi 6 は、8x8 MU-MIMO、OFDMA、拡張したレンジ、BSS(基本サービスセット)カラーリングなどの主要な機能を活用して、空間の再利用性を向上しています。Wi-Fi 6 では、ネットワーク混雑が緩和され、容量と性能が高まり、消費電力が低減します。それ以外のいくつかの考慮事項として、電力管理を向上させるTWT(Target Wake Time)、セキュリティを強化させるWPA3、およびスループットを向上させる1024 QAM があります。
図1 免許不要の6GHz 帯によりWi-Fi ネットワークをさらに拡大
次に紹介するWi-Fi 6E は、6 GHz 帯を使用するWi-Fi 6 を意味しており、米国連邦通信委員会(FCC)により最近許可された1200MHz の電波をWi-Fi 用に開放しています。6GHz 帯の導入により、Wi-Fi 6 デバイスに新しい機能と有用性をもたらすことが期待されています。
また、次期のWi-Fi 規格であるIEEE 802.11beは、インフラ機器において最大16x16 のMIMO 構成を使用することにより、6GHz 帯で320MHz のチャネルオペレーションを確立される予定です。このような開発を組み合わせることで、速度を40Gbps以上に高速化させ、以前は見られなかった距離性能を提供し、新しい時代の高度なWi-Fi アプリケーションを実現できます。
図2 Wi-Fi 6 および6E 採用の全体的なスケジュール
オン・セミコンダクターのWi-Fi 6E ソリューションは、メインストリームの 6GHz アプリケーションをサポートすると同時に、Wi-Fi 6 E への移行に対応できるように設計されています。Wi-Fi 6E インフラの普及とともに、6GHz エコシステムの種が蒔かれるでしょう。クライアント端末も、効率性の向上、干渉の減少、レイテンシーとジッターの低減などの恩恵を享受し、アプリケーションや環境を問わず、より良いユーザー体験を提供できるでしょう。
QCS-AX2 ソリューションやWi-Fi 6E 技術の詳細は下記をご覧ください。
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