8月 08, 2018

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バッテリ残量の低下よりも苛立たしいことがあるでしょうか?恐らく、バッテリ残量の低下よりも苛立たしいことはたくさんあるでしょう。しかし、現代人は携帯端末に非常に依存しているため、バッテリ残量低下の警告を避けるために、チャンスがあれば電源へ差し込むのが習性になっています。充電方法は、おそらく人口統計学的に異なるでしょうが、バッテリの不安は現実問題で広範囲にわたっており、私たちはそれを避けるために労を惜しみません。

公共の場所にある電源ソケットは、コーヒーショップ、空港ラウンジ、そして電車の中でさえ喜ばれます。全員がこれに満足しているわけではなく、電源ソケットによっては、互換性のあるプラグのみを受け付けるようになっています。しかし、一般的にほとんどの企業が、これを顧客ロイヤリティ構築の1つの方法として捉えており、無料のWi-Fiとほぼ同じように期待されています。

無料の電源を見つけるのはそれほど難しくないかもしれませんが、電源アダプタを持ち歩く必要があります。企業は電源の供給を厭わなくても、アダプタの提供には一線を引いています。

公共の場で電源を排除した場合、電源ソケットがなくバッテリ残量が少ないとき、どうすればデジタル世界とのつながりを保てるでしょうか?現在の状況において、バッテリはデータと同じくらい価値のあるものですが、電源を確保するのは窓にもたれて強い信号を探すような簡単なことではありません。携帯電話ネットワークは、まだ無線でスマートフォンへ電力を提供できないのです。


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初期の携帯型の電気通信デバイスは、大きくて重く、電力の消費が多く、常に外部との接触が必要な人々だけが、早々に手に入れるという状況でした。バッテリは重量と大きさのほとんどを占めており、市場圧力により端末が急激に小型化するのに合わせて、バッテリにもサイズ制限が生じました。「シンプルな」端末の場合、これは大きな問題ではありません。というのは(信じられないかもしれませんが)、ほとんどの人々は端末を通話に使用しており、1回の充電で数日間持続できたからです。フィーチャーフォンの台頭が(当初知られていたように)それを終わらせ、ほぼ間違いなく、これがバッテリの不安の始まりでした。フィーチャーフォンは、実際にバッテリに試練をもたらしましたが、賽は既に投げられていました。つまり、端末は世代が変わるごとに大型化ではなく小型化しなければなりません。重量と大きさにおいて後戻りはできず、動作時間が犠牲となりました。

市場は、ほぼ即座に携帯型パワーバンクでこれに応えました。これは、携帯端末へ電力を供給するという1つの目的で、プラスチックケースに収納された再充電可能なバッテリー(通常はリチウムベース)です。USBプロファイルを標準化することで、今では電力を1台のバッテリーに貯蔵し、5Vで100mAの電源から充電できるあらゆるデバイスのバッテリに電力供給できます。

USBの普及により、パワーバンクの設計は長年にわたり変化していません。しかし、USB C (Type-C)コネクタおよびPower Delivery(電力供給)仕様の登場で、その時代は終わりを告げ、新たな時代が始まるでしょう。Power Delivery(PD)は、Type C コネクタを介して最大100Wまで動的に電力を供給できます。さらに重要なことは、これが高速充電を支える技術だということです。このために、充電するデバイスは電源とネゴシエーションする必要があり、それにより電源は大きな電力を供給しなければならず、充電時間がはるかに短くなります。

より多くの電力をリチウムイオン電池バッテリへ蓄積することは、簡単なプロセスではありません。したがって、高速充電は充電するデバイスのプロセッサとの共同作業となります。パワーバンクの設計者にとって、これは大きなチャンスですが、それなりの課題を伴います。現在のパワーバンクは安定した5Vだけを供給する必要がありますが、高速充電技術はデバイスの処理能力によって、さまざまな電圧と電力を供給する必要があります。

バッテリに不安を持つユーザはこの技術を手に入れたいと強く望むでしょうし、パワーバンクのメーカは現在ソリューションを評価中です。この中には、LC709501Fなどのソリューションが含まれています。これは、USB Type-Cポートコントローラを備えたパワーバンク充電コントローラであり、高速充電のために5Vおよび12Vを供給することができ、Quick Charge 3.0 HVDCPクラスAもサポートしています。


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PD機能付きUSB Type-Cは、特に携帯型デバイスおよびウェアラブル・デバイスを中心として、コンシューマデバイスを根本的に変化させるでしょう。機能が増え、小型化が続く中で、パワーバンクの重要性が増すでしょう。個人用のデバイスと同様、IoTも定期的に再充電が必要な遠隔エンドポイントにより実現され、PD付きUSB Type-Cを備えたパワーバンクは、新たな基準となる可能性があります。電力を維持するために、パワーバンクを使用してIoTエンドポイントを充電しながら歩き回る人が現れるかもしれず、パワーバンクはまったく新しい種類の不安をもたらすかもしれません。