5月 31, 2018

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以前、「理想と現実のLDO」と題するブログで、LDO(低ドロップアウト)レギュレータに関して説明し、ノイズのパラメータに関する基本的な情報を示しました。今回はさらに踏み込んで、ノイズが何を意味し、どのように規定されるかについて詳しく説明するとともに、オン・セミコンダクターの超低ノイズLDO を紹介します。

ノイズは、固有ノイズと外部ノイズの2つに分類されます。固有ノイズは避けることができず、あらゆる電子部品が固有ノイズを発しています。LDOは、理想的な電源から電力供給されます。これは、外部の影響を受けないことを意味します。したがって、入力において外部ノイズは存在しません(ただし、LDOは出力においては固有ノイズがあります)。外部ノイズは、外部の影響により発生するすべてのノイズです(入力におけるリップル-実際のソース)。入力におけるリップは、PSRR (電源電圧変動除去比)に関係しています。

また、熱雑音(サーマルノイズ)やフリッカ雑音など、さまざまな種類のノイズが存在します。熱雑音は、熱による粒子の不規則な動作により引き起こされます。この動きを拡散といいます。熱ノイズは外部電圧なしに発生します。フリッカ雑音は、熱雑音と違い、粒子の流れの不規則な変化により引き起こされます。この動きはドリフトと呼ばれます。ドリフトは外部電圧により引き起こされます。つまりフリッカ雑音は、外部電圧がなければ発生しません。

また、ノイズは周波数スペクトルによって分類できます。私たちは、特定のノイズ周波数スペクトルを色で識別しています。たとえば、白、ピンク、茶色、灰色などです。色で識別される最初のノイズはホワイトノイズで、すべての範囲でフラットな周波数スペクトルを持っています。

では、ノイズはどのように計測するのでしょうか?先に述べたように、固有ノイズは、入力において理想的な電源を持つLDOにより発生されるノイズです。実際の計測では、この理想的な電源とは、たとえば、固有ノイズが LDO レギュレータよりもはるかに低いバッテリがあげられるでしょう。このノイズは周波数に依存しており、スペクトルノイズ密度曲線や積分ノイズの値などのパラメータとして表されます(特定の周波数範囲の出力ノイズ電圧-通常は10 Hz ~100 kHzであり、マイクロボルトuVRMSで表されます)。


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しかし、スペクトルノイズ密度とは何でしょうか?ノイズを一定時間内に計測すれば、ノイズの絶対振幅値のみを見ることはできますが、すべてのノイズ属性の周波数を見ることはできません。上の図のように、ノイズは10倍の目盛りで示されています。スペクトルノイズ密度曲線は、ノイズの原因を合計したものです。各原因は、細かい周波数範囲で計測されます。スペクトルノイズ密度は、以下の図のように見ることができます。


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LDOの出力におけるノイズも負荷に依存します。負荷は電流IOUTを消費し、電流の値は抵抗RLOADに等しくなります。負荷に依存するのは、RLOAD と出力容量COUTの倍数です。RLOADの値またはCOUTの値が高いほど、負荷に依存する曲線部分が、より低い周波数に移動することを意味します。上の図では、IOUTへの依存、下の図では、COUTへの依存を見ることができます。


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オン・セミコンダクターは、さまざまなノイズパラメータを持つ幅広いLDOポートフォリオを有しています。標準的なLDOは通常、一般的に50 uVRMSを上回る積分ノイズを持っており、低ノイズ製品(ノイズ< 30 uVRMS )および超低ノイズ部品(ノイズ< 15 uVRMS)が存在します。最新の超低ノイズLDOの例としては、NCP160 / NCP161 / NCP163 / NCP167ファミリーおよびNCP110があります。これらのLDOの積分ノイズは、10 uVRMSを下回っており、RF、センサ、カメラ、スマートフォン、タブレット、ワイヤレスLANなどのセンシティブなアプリケーションに理想的です。

では、LDOの出力で発生するノイズの量をどのように表現するのでしょうか?これは、上記で示した積分ノイズ周波数範囲として表現できます。この範囲は通常10 Hz~100 kHzです。この2つ目の疑問に関してはパート2で詳しく扱います。ご期待ください。