11月 03, 2022

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オンセミは数年間にわたり、最も低消費電力のBluetooth® Low Energy (Bluetooth LE) 対応デバイスで業界に波紋を広げています。2017年にRSL10をリリースしたのがBluetooth LEへの最初のエントリーです。2021年にはRSL15が続き、それ以降も継続的にBluetooth LE仕様の新しいデバイスを開発しています。ここでは、それぞれ複数のファミリ製品を持つBluetooth LEデバイスの中から最適なものを選ぶヒントをいくつかご紹介します。 

アプリケーションの要件は、適切なソリューションを選択するガイドとなりますので、最初に以下の質問に答えてみてください。

  • 可能な限りバッテリ寿命を延長した、非常に低電力のソリューションが必要ですか?
  • アプリケーションは音声伝送や音声処理を必要としますか?
  • アプリケーションにはスペースの制約がありますか?
  • アンテナと外付け受動部品を備えたモジュールで開発期間を短縮できますか?
  • 自動車認証が必要ですか?
  • アプリケーションは人体への埋め込みが可能、または生命にかかわる医療用ですか?
  • アプリケーションにはセキュリティや安全なデータ通信が必要ですか?
  • 製品開発を始めるのにBluetooth LEリファレンスデザインは役に立ちますか?
  • それはIoTアプリケーションですか?

これらの回答は、オンセミのBluetooth LE対応製品の中から適切なものを選択する参考になります。選択できる製品オプションは、この記事の最後に記載しています。

低消費電力

超低消費電力はRSLファミリの特徴です。RSL10は、小さな電池で再充電することなく何年も動作を続ける必要がある、埋め込み型医療機器のお客様からの情報をもとに設計されました。RSLデバイスのすべてのブロックは、低消費電力を念頭に置いています。すべてのRSLファミリ製品は、スリープ時にnAレンジの電力で非常に低いデューティサイクルで動作できます。RSL15は、外部値の継続的なADC監視を行い、186 nA @ 3.0 VのADCしきい値でスリープ解除されるスマートセンスモードを提供します。

オーディオ

アプリケーションにオーディオが含まれ、オーディオコーデックが必要な場合は、RSL10が最適です。RSL10にはLPDSP32が統合されており、G.722やCELTなどのオーディオコーデックを実行できます。今後、オンセミのBluetooth LEソリューションは、LC3コーデックによる新しいLEオーディオプロトコルもサポートする予定です(注: コーデックは、伝送用の圧縮デジタルデータの符号化と復号化を可能にします。コーデックには、固定ハードウェアブロックまたはプロセッサ上で動作するアルゴリズムがあり、LPDSP32プロセッサは、オーディオデータの最も効率的で低消費電力の圧縮/復元専用ハードウェアブロックです)。オンセミEZAIRO® 7160ワイヤレス対応DSPにはRSL10が内蔵されており、補聴器など小型の低電力オーディオアプリケーションに最適です。

サイズ

民生用や医療用の使い捨て機器、ウェアラブル機器やIDタグなど、小型のアプリケーションには、WLCSP(ウェハレベル・チップスケール・パッケージ:接続用はんだボールを備えた単純なシリコンダイ)の製品を選択します。RSL10 WLCSPは、厚さ0.35 mmで2.32 mm x 2.36 mmの小型ソリューションです。RSL10 QFNは6 mm x 6 mm、RSL15 QFN は5 mm x 5 mmですが、十分に小型アプリケーションに採用できます。WLCSP製品を使用する場合、選択した製造プロセスが0.25 mmのはんだボールピッチに対応できることを確認してください。

モジュール

RFシステム(2.4 GHz Bluetooth LE など)の開発では、ハードウェア環境に合わせて周辺コンポーネントとアンテナを選択する必要があります。システムをFCC, CEまたはその他の規制機関の基準を満たすようにするには、時間と費用がかかる場合があります。この作業の多くを省略するには、必要なすべての受動素子(水晶振動子、電源デカップリング、アンテナ整合回路など)とアンテナを内蔵した認証済みモジュールを選択します。ここでは、RSL10 SIPが最適なソリューションです。すべての受動部品とアンテナが、6mm x 8mm x 1.46mmの認定済みモジュールに統合されています。RSL15 SIPは現在、製品化が進んでおり、まもなく発表される予定です。 

自動車認証

自動車アプリケーションの開発には、車載向けの厳しい温度範囲と基準を満たす部品が必要です。AEC-Q100グレード2認定のNCV-RSL10は、RSL10と同じエネルギー効率で、キーレスエントリ、安全および診断アラート、強化されたインフォテインメントコントロールなど、さまざまな新しい車載アプリケーションを実現します。

生命にかかわる医療

オンセミは、医療用部品のプロバイダーとして長い歴史を持ちます。この経験を生かし、心臓の監視と管理、神経刺激などの埋め込み型または生命にかかわるアプリケーションで使用するMD-RSL10の認証を取得しました。

注1: 本製品を生命維持システムの重要部品として使用する場合、またはFDAクラス3医療機器または外国の管轄区域で類似または同等の分類を持つ医療機器あるいは人体への埋め込みを目的とした機器に使用する場合には、事前に書面によるオンセミの承認と、購入者が署名した個別の補償契約が必要です。

リファレンスデザイン募集

オンセミは、プロジェクト進展を加速させる実証済みリファレンスデザインを多数用意しています。通常、リファレンスデザインにはアプリケーションのハードウェア、ファームウェア、BOM、回路図およびPCB製造ファイルが含まれます。オンセミは、お客様のIoTアプリケーション開発を活性化させるために、各種の低消費電力リファレンスデザインを提供しています。

  • RSL10センサ開発キット
  • RSL10資産タグ
  • エネルギーハーベスティングBluetooth Low Energyスイッチ
  • RSL10スマートショットカメラ

安全な送信

開発者は、個人の健康状態や決済取引などの機密データを保護する場合は、1つ以上のセキュリティメカニズムを組み込まなければならなりません。RSL15は、真のハードウェアベースのルートオブトラストと、ハードウェアアクセラレーションによる暗号化アルゴリズム用ArmのCryptoCellによる最新の組み込みセキュリティを搭載しています。このハードウェアアクセラレータ上で、ECDSAやSHAなどのセキュリティアルゴリズムがソフトウェアセキュリティソリューションの最大62倍高速に動作することがデータで示されています。

IoT

モノのインターネット(IoT)は幅広いカテゴリですが、いくつかの代表的な要件がコンポーネント選択の指針となります。一般的なIoTアプリケーションは大半の時間はスリープモードで、時折スリープから解除されて数パケットのデータを送信し、再びスリープに入るリモート監視機器です。RSL15は複数の低消費電力モードを備えており、ほとんどすべてのアプリケーションのニーズに対応できます。2つのフラッシュサイズ(284 kBと512 kB)が用意されており、スリープモードでもADCを連続して読み取ることができるスマートセンシングモードなど、IoTに的を絞った機能を備えています。RSL10もIoTアプリケーションに適した製品であり、RSL10のいずれかのフォームファクタが必要な場合には選択することができます。

 


オンセミのRSLファミリは超低消費電力仕様でバリエーションの拡大を続けています。オンセミが提供する「Power Consumption and Battery Estimator」ツールで、RSL10RSL15が業界をリードする低消費電力の製品であることを確認してください。

RSL10、RSL15およびその他のBluetooth LE対応デバイスの詳細については、こちらをご覧ください。