最近では、ほとんどの人が認識している以上にイメージセンサが使用されています。イメージセンサは、自動車では衝突回避の支援、建物では侵入者の監視、生産ラインでは製造する商品の品質チェックを行っています。興味深いことに、これらのセンサは画素サイズや解像度といった、非常にシンプルな指標で分類されることが多くなっていますが、特定のアプリケーションに最適なセンサを選択することは、それほど簡単ではありません。
解像度
危険を察知したり、製造された製品の欠陥を見つけたりすることをセンサに任せているので、画質は非常に重要です。システム設計者(およびエンドユーザ)は、解像度が高ければ(画像の画素数が多ければ)、画質が向上すると考えがちです。しかし、必ずしもそうとは限りません。解像度が高いほど、画像のエッジが鋭くディテールが細かくなり、対象物を認識しやすくなりますが、それ以外にも考慮すべき点があります。解像度が高いと、キャプチャ速度/フレームレート、センササイズ、センサ出力などの重要なパラメータに影響を与えます。また、画像が大きくなると、より大きな帯域幅、ストレージ、処理能力が必要になるため、他のシステム要素にも影響を及ぼします。高い解像度が必要な場合は、画素サイズを小さくすることで、レンズやカメラのサイズを変えずに画質を向上させながら、コストとサイズの目標を達成することができます。
コストやシステム性能への影響を考えずに、できるだけ多くの画素数が必要と思い込んでしまうことが少なくありません。新しいプロジェクトを開始するときは、最終用途とそれを満たすためのコアパラメータにより、物理的サイズ(レンズやカメラ本体)、電力、その他制限などの制約事項を考慮した完全な要件分析が必要です。この方法により、評価の早期段階で解像度によって選択の幅を制限するよりも、アプリケーションのニーズにより適したセンサを選択することができます。
図1:1/1.5” 5.4 MP 3 µmスプリットダイオードセンサ以前の解像度
図2:1/1.8” 8.3 Mp 2.1 µm超露出センサ以後の解像度
電源
イメージセンサの性能も追加システムコンポーネントに大きく依存します。これらのコンポーネントが光路上に存在しなかったり、センサデバイス自体の一部でもなかったりして、わかりにくい場合があります。結果として、設計者は電源設計などの面で妥協してしまうことがあります。このアプローチでは、電源コンポーネントからの電気的ノイズで画像に欠陥が生じる可能性があり、その場合は画質が低下します。画像の欠陥には些細なものから、原因がわからなくても視聴者全員が気づくようなものまでさまざまです。
イメージセンサは基本的に光子カウンタです。暗い場所では光子数が少ないため、システムに「ノイズ」があると画像内で目立ちます。電源からの電圧スパイクや電圧過渡現象があると、最終的な画像出力に欠陥が生じる可能性があります。センサは許容範囲内での電源電圧変動に対応できるように設計されていますが、許容範囲を超える変動は画質に影響を与える可能性があります。したがって、カメラシステムの設計では、給電品質が非常に重要な要素になります。
ノイズ源
誤差や偏りのない光量を測定する完璧な装置があれば素晴らしいですが、実際には、センサダイの電子回路には、各画素の信号レベルに影響を与えるさまざまなノイズ源があるため、最終画像の画素も影響を受けます。一般的に読み取りノイズは最新のセンサで適切に制御されますが、暗信号不均一性(DSNU)と呼ばれるもう一つのノイズ源はより制御が困難です。
DSNUとは、完全な暗闇で撮った画像を見る状態のことです。真っ暗なので信号は全くないはずですが、一部の電子の挙動が完全ではないため、光が入っているかのようにカウントされてしまい、画像が完全に黒くならないのです。これが各画素で同量であれば、写真を編集して画像全体を少し暗くするときのように、明度を下げることができます。アレイ全体で均一でないと問題が生じます。DSNUはアレイ全体でどの程度ばらつきがあるかを示す指標であり、センサの温度が上昇するほど悪化します。センサは温度の影響を受けるため、エアコンが効いた実験室でテストした時は良さそうでも、暑い夜に屋外でテストすると思わしくないこともあります。暑くて暗い夜は有効な信号が少ないため、DSNUの管理が最も困難で、このノイズ源がより目立つようになります。これに対処するには、システムが通常使用される温度および照明条件の全範囲にわたってセンサを測定します。室温テストだけでイメージセンサを選択した場合、温度が上昇したときの動作に困惑するかもしれません。
信号対雑音比(SNR)
SNR、すなわち信号対雑音比は、信号電力と雑音(ノイズ)電力の平均的な比率として定義されます。ノイズの量に関係なく、S/N比が非常に高ければ、画像に対するノイズの影響はそれほど目立ちません。レストランの支払いで追加料金が発生したようなものと考えてください。コーヒーを注文した場合を想定してみましょう。追加料金は同じ3ドルですが、一杯のコーヒーだけを注文した場合は、3ドルがそれなりに大きな額のように思え、人数が多く請求額が数百ドルの場合なら、追加料金の割合が小さいので3ドルは気にならないかも知れません。同様に、何千個もの光子から信号レベルを得ている場合、余分な数個の光子に気づくことはなさそうです。
イメージセンサの話に戻りますが、画像に明るい部分と暗い部分がある場合、一部の領域でより多くのノイズが観察されるはずです。皮肉なことに、これは画像の暗い部分ではなく、「中間の部分」に存在する可能性があります。それでも、低照度対応方式から高照度対応方式に移行する領域では、設計上の限界が明白になります。技術的な詳細に踏み込まずにこれを説明するのは簡単ではありませんが、例えるなら自転車のギアのようなものです。10段変速の自転車なら、低速に最適なギア、最高速に最適なギア、そしてこの2つの間に多くのギアがあることになります。ここで、トップギア、ミドルギア、ボトムギアしかない場合を想像してみてください。低速(低照度)、中速(中照度)、または高速(明るい日差し)に適したギアはありますが、低速から中速、中速から高速への切り替えはあまり快適ではなく、サイクリングの途中でこの足りないギアが切実に必要だと思うかもしれません。
一部のメーカでは、イメージセンサの主要指標として平均SNRを取り上げ、SNRが良好な領域を選んで性能統計を引用し、これが全照明条件での総合的な画質を表していると思わせるように宣伝していることがあります。これは、例えば自転車メーカが3段変速の自転車の平均的なギア比を提示しているようなものです。ミドルギアは3つのギアのほぼ平均値ですが、ローからミドル、ミドルからハイへの切り替えには大きなギャップがあり、どのギアを選択しても理想的とは言えません。設計者はこのことを理解し、「平均的な」SNRの主張の先を見なければなりません。解決策は、アプリケーションに要求される照明条件の全範囲にわたってセンサをテストし、全範囲でSNRを測定して、自転車の「欠落したギア」の問題が生じないかを確認することです。
イメージセンサアプリケーションにとって画質が重要な場合、回避すべき潜在的な落とし穴があります。解像度とノイズの影響に関する仮定は、最終的なシステム設計に予想外の事態が発生しないよう、テストを実施して検証する必要があります。