4月 17, 2019

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このブログは、シャント抵抗器の正確な接続に関する3部構成のシリーズ第2弾です。第1弾では、「シャント抵抗器の接続ミスの診断」について議論しました。今回は、シャント抵抗器の設計アーキテクチャおよびシャントの接続に関するシャント抵抗器メーカーの典型的な推奨ガイドラインについて議論します。シャント抵抗器の間違った接続方法は数多くありますが、シャント抵抗器の唯一の正しい接続方法はシャントメーカーの推奨ガイドラインに従うことです。

下記の図1で、左側の「Ideal(理想的)」と書かれたシャント抵抗器の接続をご覧ください。理想的な接続では、長さと寸法が同じ均一のトレースを使用しています。トレースは、シャントメーカーが一般的に推奨する場所でシャントへ接続されており、最終的にアンプにより計測または検出される電圧は、シャントのアクティブ部分での電圧降下と正確に一致します。ここで図中の理想的な接続と「Non-Ideal(理想的でない)」接続を比較してみてください。 

図1:シャント抵抗器の理想的および理想的でない接続

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シャント抵抗器の設計

最大限の効率性を手に入れるために、電流シャントのアーキテクチャを理解しておくと役に立ちます。通常、はんだ付けされるシャントの末端は銅材料ですが、シャント自体はマンガニンなど別の材料です。シャントメーカーが正確な値にトリミングしているのは、この中央部分の材料です。その目的は、抵抗の材料自体での電圧降下を正確に捉え、終端接続での電圧降下をなくすことです。図2は、2端子シャント抵抗器における典型的なメーカー推奨の接続点を示しています。センストレース接続は、シャント抵抗器の材料が銅リードと交差する面の、両サイドの中央部に位置します。


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図2:2端子シャント抵抗器における典型的なメーカー推奨の接続

シャントメーカー推奨のシャント接続が図2と異なる場合、必ずメーカーのガイドラインにしたがって下さい。図3において、漂遊リード抵抗と漂遊センストレース抵抗が示されていることに注意してください。不適切な接続の場合、このような不要な漂遊抵抗が測定値に加わり、誤差が大きくなります。


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図3:漂遊抵抗(RLeadおよびRSense)を示す2端子シャント抵抗器への接続

図4に示されている4端子シャント抵抗器は、高精度を保ちつつ、ケルビンセンストレースをシャントへ接続するより明らかな方法を提供しています。ただし、4端子シャント抵抗器は、コスト高になる点に注意すべきです。


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図4:4端子シャント抵抗器における典型的なメーカー推奨のシャント接続

 シャント抵抗器を正確に接続することは難しくはありませんが、正しく接続するためにはシャントメーカーの接続ガイドラインと適切なPCB設計を理解しておく必要があります。

このブログのシリーズ最後となる第3弾にご期待ください。第3弾では、「シャント抵抗器の良い接続と悪い接続」をテーマにして議論を締めくくります。また、このシリーズの最終回として、第1弾と第2弾の議論をすべてまとめ、適切に設計されたPCBを検証し、良い接続のPCBと悪い接続のPCBの測定データを比較します。

電流センスアンプの詳細については、こちらをご参照ください。