TPMS or TMS? That is the Question.

現代の車両には、輸送リコール強化、説明責任、文書化（TREAD）法により、タイヤ空気圧監視システム（TPMS）が装備されています。タイヤの空気圧を監視することで、突然の空気圧低下や徐々に進む空気圧低下を運転者に警告して事故を回避したり、タイヤの摩耗に関連する問題を認識させたりすることができます。タイヤメーカや自動車メーカは、タイヤの空気圧だけでなく、もっと多くのことを監視したいと考えています。さらに、加速度と角運動を監視し、車両の動きや他のタイヤと比較して、安全上の理由や乗り心地をよくするなどの目的で調整を行って、車両の所有者に実用上のメリットをもたらすことができます。温度やタイヤ摩耗など、他に監視するリアルタイム変数がますます増えているため、現状はTire Monitoring System（タイヤ監視システム）の略語であるTMSが適しています。頭文字からすれば「少ない方がいい」のですが、機能面からいえば、システムコンポーネントがこの新しいデータをすべて検知、処理、保存、伝送するためには、より多くのものが必要になります。

センサの個数や一般的な機能数は増え続けていますが、消費電力供給量は増えていません。一般に、1個のタイヤまたはホイールにつき1つのセンサシステムが使用されます。一部の工場出荷のTMSはホイールのバルブステムに組み込まれていますが、市販システムにはタイヤ内側のゴム表面に取り付けるものもあります。これらのシステムは小型のコイン電池駆動ユニットで、中央ボディコンピュータまたは中央処理装置と無線で通信し、場合によってはBluetooth® Low Energyを介してスマートフォンと通信します。いずれにしても、これらのシステムは複雑化し、より多くのセンサがさらに多くのデータを取得するようになった結果、時間が経つほど消費電力が増えてきました。バッテリはタイヤ自体に埋め込まれることが多いので、普通の人はキーフォブのように簡単にバッテリを交換することはできません。

「Service Tire Monitoring System」または同様のメッセージが繰り返し表示されるとき、TMSシステムの故障で最も多い原因のひとつは一般に、センサのバッテリのうち1個が充電切れになっていることです。そのため1個が充電切れになれば、他のバッテリもすぐになくなります。そろそろ交換のために車を整備に出す時期です。

多数のセンサ、豊富なデータ、無線伝送などの条件、そして多くの場合はバッテリ寿命が10年のため、難しい設計要件が課されます。セキュリティはどうでしょうか？TMSのセキュリティでは、（少なくとも現時点では）タイヤの盗難を防止することはできず、車両の中央ボディコンピュータや中央処理ユニットへの不正な無線アクセスに対する保護が必要です。車両コンピュータに不正アクセスが行われると、タイヤを失くすよりも辛いことが起こる可能性があります。セキュリティ対策は標準のシステム要件になっており、システムは将来のセキュリティ脆弱性にパッチを当てるために、更新可能なソフトウェアを備えていなければならないことを意味します。 

パッシブエントリ／パッシブスタート（PEPS）などのシステムで大切な要素は、できるだけ電力を使わないことであり、バッテリエネルギーを節約することは、そのまま製品の長寿命化につながります。Partronは、業界をリードするオンセミの低消費電力NCV-RSL10 Bluetooth Low Energy対応マイクロコントローラ（MCU）を使用して、Hankook TireのTMSシステムを設計しました。ただし、その言葉を鵜呑みにしないで、EEMBCのULPMark-CoreProfileのベンチマークスコアを自分で確認してください。この記事を執筆している時点では、RSL10が2.1Vで1260を記録して首位を維持しており、僅差の2位に当社のRSL15が続いています。

ファームウェアの無線（FOTA: Firmware-over-the-Air）アップデートをサポートする高度なBluetooth Low Energy対応MCUコアの中で、業界で最も長いバッテリ寿命を実現していることで知られるNCV-RSL10は、現在飛行中もしくは離陸中と言えるかもしれません。24時間年中無休の開発コミュニティでは、総合的なソフトウェアの提供に加えて、容易な設計もサポートしています。

ソフトの側面では、オンセミの位置とエコシステムのセンサメーカとの関係、そしてアプリケーションエンジニアリングのサポートが、競合他社を凌駕する優れた消費電力管理能力以上に、この好機を得た主な理由でした。TMSは新しい技術で、要求はなおも拡大し続けている、そのことが重要なのです。したがって、より高度なワイヤレスMCU、さらに潜在的には将来のセキュリティニーズに対応するために、FOTAさえもサポートするMCUが必要になります。