8月 14, 2018

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電気自動車およびハイブリッド車では、高電圧バッテリと車両の他の部分を遮断する方法が必要です。従来、この機能を果たす解決法として特別に設計された高電流リレー(コンタクタ)が推奨されていました。このリレーは、負荷がかかった状態で損傷を受けずに遮断できるように設計しなければなりません。これは、真空封入したコンタクトを使用して実現されます。通常、これらのコンタクタでは、コンタクトを囲むように不活性ガスが充填されて、空気を取り除きます。一般的に、高電圧バッテリでは、3つのコンタクタが必要です。2つのメインバッテリの導体にそれぞれ1つ、3つめはプリチャージ機能のための小型バージョンです。従来のバッテリ遮断回路を図1に示します。


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図1

EVメーカは長きにわたり、このバッテリ遮断の問題に対して、より小型軽量で安価なソリューションを求めてきました。パワー半導体ソリューションは、コンタクタの置き換えとして提案することが一般的であり、小型のソリッドステート・ソリューションを生み出します。半導体パワースイッチ設計の課題も非常に大きなものです。各リレーを適切なパワースイッチで直接交換するだけでは解決しません。EVバッテリシステムの場合、電流は両方向に流れることができるため、パワースイッチは、両方向で電気を導通および遮断できなければなりません。車両の休止中(駐車中)、バッテリのオフ状態のリークは、放電および潜在的に危険な状況を防ぐために、極めて低くなければなりません。さらに、メインのコンタクタを通る電流レベルは、HVバッテリ自体を通るレベルと同じです。大きな加速が必要な車両の走行中、電流レベルは非常に高くなり、これが長く続くことで、パワースイッチの熱管理システムに重大な問題をもたらします。走行モードに対する代表的な車両の電流レベルを表1に示します。


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表1

図2に、バッテリ遮断システム・ソリューションの提案の1つを示します。ここでは、複数のバック・ツー・バックIGBTデバイスを並列に使用することで、双方向の導通の問題を解決します。これらのデバイスは、適切な定格電流でなければならず、大きな電力損失に対処するために適切な放熱システムを備えていなければなりません。オフ状態のリークの問題は、負極のバッテリ導体に1つのコンタクタを維持することで解決されます。これは、駐車中の車両のバッテリリーク仕様を満たす完全なソリューションのために必要です。WBGパワーデバイスを用いた将来のアプリケーションは、完全なソリッドステート・ソリューションを実装する技術となる可能性があります。


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図2

同様の状況が、新たに実現された48Vマイルドハイブリッド車において展開しています。これは、主にHV EVと同じ要件を持つリチウムイオンバッテリにより駆動されていますが、電流と電圧のレベルは大きく異なります。ここでは、MOSFETモジュールを使用して、この問題を解決することが提案されています。また、事前充電のハードウェアを完全な固形ソリューションで置き換えるためには、スイッチモード技法を使用して、容量性出力バスを充電できる制御回路を追加する必要があります。このようなBDU(バッテリディスコネクトユニット)システムの開発は、xEV 業界にとって新しいものであり、成功するためには多大な専門設計とイノベーションが必要となるでしょう。