8月 10, 2020

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現在の私たちが住む世界において、接続(コネクティビティ)技術は日々の生活と仕事に浸透し、その重要性はかつてなく増しています。私たちの世界は、距離や場所に関わらず、コネクティビティ能力の拡大とともに狭くなっています。親や祖父母とビデオチャットでつながったり、在宅勤務をしたりできるのは、デジタル音声/ビデオ電話、eメール、およびVPNがあってこそです。現在の「コネクティッド(接続)」社会に最も普及しているコネクティビティ技術は、Wi-Fi(ワイヤレス・フィディリティー)です。Wi-Fiは、導入開始から20年以上経過していますが、ほとんどの技術分野と同様、現在および将来のインターネットのニーズに合わせて絶えず進化しています。Wi-Fiが初めて私たちの生活に導入された時は、アクセス性や送信できる通信の種類が限られていました。当初、無線コネクティビティは主に eメールに使用されていましたが、あらゆる種類のストリーミングサービスおよびオンライン・ゲームの台頭、高速コネクティビティの需要、およびユーザーの増加により、Wi-Fi機能はWi-Fi 6と呼ばれる第6世代のWi-Fi へ進化しました。

オン・セミコンダクターは、2019年に Quantenna社を買収し、コネクティビティソリューションの品揃えを広げました。現在、オン・セミコンダクターは、最新の製品の1つであるQCS-AXアクセスポイントにより、競争力のある最高クラスのソリューションを提供しています。無線コネクティビティの主な課題の1つは、相互運用性です。つまりアクセスポイントは、携帯電話、ノートPC、プリンタ、その他のIoT(モノのインターネット)デバイスなど、あらゆる種類のクライアント端末と適切に通信できる必要があります。この目標を達成するために、IEEE標準化団体が設立されました。この団体は、すべてのデバイスが事前定義されたシーケンスを適切なデータ形式で送信できるように標準化を図っています。受信機は、最も旧式のWi-Fi技術から最新式のWi-Fi技術までシーケンスを処理し、能力に合わせて最適な性能を確保できるようになります。また、Wi-Fi Allianceは、市販の端末が基準を満たすことを確認するために、製品認定を実施しています。

Wi-Fiは、自宅、オフィス、さらには屋外において、特定の地域およびデータ需要と接続遅延が異なる多くのクライアント端末をカバーする形で、アクセスポイントで構成されるローカル・ネットワークを創り上げています。また、ワイヤレスデバイスの存在が大きくなるにつれて、Wi-Fi ネットワークは、Wi-Fiのエコシステム全体の遅延を悪化させることなく、高いスループットを提供すると同時に大量のクライアントを柔軟に処理できなければなりません。過去の世代のWi-Fi規格は、設計上、現在のニーズに対応できず、ユーザーがデータ集約型のデータストリーミング・サービスやオンライン・ゲームを使用すると限界が生じます。そこでIEEEは、一般的にWi-Fi 6と呼ばれる802.11ax規格を開発しました。これは現在、当社のQCS-AX チップセット製品でサポートされています。Wi-Fi 6 技術は、データのスループットが拡大し、ユーザーが増加する中で、大量のユーザーを最高の状態で同時サポートする最大能力を提供します。

QCS-AXの開発における最大の課題の1つは、チップセットの複雑さでした。通常、Wi-Fiは、複雑なシステムオンチップ (system on chip 、SoC)の能力により実現されており、それによる専用ハードウェアブロックの処理速度と、相互接続されたデジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)の柔軟性を兼ね備えています。また、このようなSoCプロジェクトを立ち上げるためには大量の時間と資金と人材が必要であり、高品質の最終製品を確保するためには最大2年間にわたり100人の技術者チームを要します。各チームメンバーは、具体的かつ複雑な職務を与えられ、期限までに全員が職務を適切に完遂する必要があります。必要なスキルの幅は膨大です。ハードウェアブロックを設計するASIC チーム、DSPをプログラムするソフトウェアチーム、そして総合的な機能とアルゴリズムの有効性を確保するためにシステムエンジニアが必要です。無線周波数チームは、適切な周波数(2.4、5、または6GHz)で無線伝送できるフロントエンドを管理し、ハードウェアチームは、ノイズ、干渉、およびコストを最小限に抑えつつ、基板を製作してすべてのブロックを接続します。そして忘れてはならないのが、製品の品質を確保し、お客様のニーズとの適合性を保証する品質管理とフィールドチームです。このプロセスは、すべてのチームおよびおよびその作業量をを調整するために非常に重要です。最後に、チップセットが製造工場から届いた時点で、お客様のニーズに合致し、最終的に消費者の体験を向上させる製品に仕上げるために、最終的な微調整が加えられます。

研究によると、現在、米国の家庭では、スマートフォン、パソコン、スマートスピーカ、その他のIoTデバイスなど、平均10台を超えるコネクティッドデバイスを使用しています。私たちは新型コロナウイルスの流行により、教育分野での在宅学習からビジネス分野でのバーチャル取締役会にいたるまで、ストリーミングサービスの増加を目の当たりにしてきました。データを送受信するための信頼できるデジタルソースが、これほど普及したことはありません。5Gネットワークは、世界中に広がりつつある一方で、Wi-Fiは家庭、職場、または屋外においても、エンドユーザーにとって常に強力なインターネット接続技術であり続けるでしょう。そして、私たちのデジタルニーズをその中に組み込んでいきます。Wi-Fi 6は、異なるクライアントへ効率的にデータを配信するとともに、遅延を減らし、通信時間の効率性を向上できるため、その方向へ進む適切なステップです。今後数年で、どのようなデジタル課題が生じるか分かりませんが、現在および将来のWi-Fi製品は、私たちの社会の基盤であるコネクティビティのニーズに対応して進化し続けるでしょう。

スマートホームのハブおよびゲートウェイにおけるWi-Fiの詳細に関しては、当社の直近のIoT技術セミナーのビデオをご覧ください。

 

 

ビデオで紹介している製品:

 

 

 

 

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