10月 13, 2020

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最近、人気の高い電気自動車(EV)メーカーの株価が記録的な高値をつけ、ニュースになりました。同社の株価は、2020年に約5倍に上昇しました。 今年、新型コロナウイルスの感染拡大阻止のために実施されたシャットダウン措置や経済活動への規制は、世界の自動車産業への逆風となりましたが、EVへの熱や需要は高まっています。EV向け電子機器のイノベーターそしてサプライヤーとして、当社はこの3年足らずの間に車載用オンボードチャージャ (On Board Charger、OBC) ソリューションの分野で前進を遂げてきました。OBCは、カーボン・エミッションの削減、車両効率の向上、そして石油依存の低減に寄与する、当社の車両電動化技術のひとつです。

オン・セミコンダクターは、2018年1月に初めて 3.3kW OBCディスクリート・リファレンス・ソリューションを発表しました。これは、トップクラスの力率コントローラ (PFC) (FAN9672Q) とLLCコントローラ(FAN7688)を備え、90%超の動作効率を実現しました。

続けて2018年末には、3.3kWオートモーティブ・パワーモジュール (Automotive Power Module、APM) ソリューションを発表しました。これは、自社のFAM65CR51DZ パワーインテグレーテッドMOSFETモジュールを搭載して、燃費および CO2 排出量の削減のために、効率性および信頼性に優れた小型システムを可能にするように設計されたソリューションですが、同時に伝熱能力の向上そして非常にハイレベルのシステム・インテグレーションの達成にも寄与しました。

その直後の2019年初頭には、6.6kW OBC シリコン (Si) モデル を発表しました。これは、高電圧スーパージャンクションMOSFETをベースとしたインタリーブPFCとフルブリッジLLCを備えた高効率・高出力密度のリファレンスデザインです。先進の堅牢なコンポーネントにより、動作効率は94%にまで向上しました。

プラットフォーム3.3 kW ディスクリート3.3 kW APM6.6kW Si6.6kW SiC11 kW SiC
入力電圧90 – 264 Vac90 – 264 Vac90 – 264 Vac90 – 264 Vac195 – 265 Vac
出力電力3.3 kW3.3 kW6.6 kW6.6 kW11 kW
トポロジ

2CH 
インタリーブ

PFC

フルブリッジLLC

2CH
インタリーブ

PFC

フルブリッジLLC

3CH
インタリーブ

PFC

フルブリッジLLC

3CH
インタリーブ

PFC

フルブリッジLLC

3CH
インタリーブ

PFC

フルブリッジLLC

リリース時期2018年1月2018年12月2019年1月2020年10月2019年12月

 

しかし、効率性の向上とスイッチングロのス低減の追求に終りはありません。今日現在では、今年10月に発表した新設計の6.6kW OBC SiCプラットフォームに、最先端技術のシリコンカーバイド(Silicon Carbide、SiC)デバイスが使用されており、シリコン(Silicon、Si)デバイスを使用した場合に比べ優れたスイッチング性能と高い信頼性を提供します。

 


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この SEC-6D6KW-OBC-SIC-GEVB評価ボードは、SiCパワーデバイスとドライバを備えた6.6kW OBC システムにおけるPFCとLLCのリファレンス・デザインを提供しています。このプラットフォームは、高いスイッチング性能のSiC ダイオード (FFSP3065A)、SiC MOSFET (NVHL020N090SC1)、6 A SiC MOSFETドライバ (NCP51705MNTXG)、900V 60mΩ SiC MOSFET (NVHL060N090SC1) で構成されています。このような高性能SiCデバイスにより、スペースに制約のあるデザインにおいても、さらに高い効率性(いかなる条件下においても最大95%、最適化された場合は2%超の向上)と出力密度を実現します。車載電子部品評議会(Automotive Electronics Council 、AEC)に認証された LLC共振コンバータ・コントローラを備えたフルブリッジLLC回路 (NCV4390) により、高いバス電圧を使用して効率性を向上します。

NCV57000 は、ガルバニック絶縁体を内蔵した大電流シングルチャネルIGBT ドライバです。高い信頼性が求められる高電力アプリケーションにおいて、高いシステム効率で動作するように設計されており、Siデバイスのバージョンで使用されているホール・パルス・トランスを置き換えます。高い電流ドライブ能力と負ゲート電圧により、SiC MOSFETを容易に駆動できます。オーバーロードやショート・サーキット(短絡)に対するセルフプロテクト機能を有しており、OBCのような高出力と高い信頼性が要求されるアプリケーションに適しています。

SiCコンポーネントやドライバを備えた別のOBCリファレンスソリューションとして、3相11kW OBC PFC + LLCプラットフォーム も利用できます。このプラットフォームは、モジュール式の手法で設計され、使い勝手の良い GUIを備えており、OBCアプリケーションにおけるSiCデバイスの評価を円滑にすすめることができます。


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オン・セミコンダクターは、今後も引き続き、先進的な車両電動化ソリューションを開発していきます。将来のOBCアプリケーションでは、「バッテリからグリッドへ」のコンセプトが採用されるでしょう。双方向バッテリは、電気機器の電源になるだけでなく、車をガレージに駐車している時にはパワーステーションとして機能するでしょう。当社は近い将来、お客様の評価向けに双方向OBCを製品ポートフォリオに追加する予定です。

 

OBC ソリューションおよび他の設計リソースに関する詳細は以下をご参照ください。

 

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